「保温調理」をご存知ですか?
鍋を加熱して沸騰させた後、何らかの方法で鍋ごと包む、又は専用容器に閉じ込めて熱を逃がさない事に依って、自らの熱だけで調理を完了させる事を指します。
私が初めてこの保温調理器の存在を知ったのは離婚がきっかけでした。「これから外国で独り暮らして行くのは大変だろうから…」と母が持たせてくれたのです。それは「シャトルシェフ※1」と言う保温調理器(5L)で、トランクにも入らず、リュックに入れたら搭乗の際に持ち込みを禁止されてしまい、オーストリアに着いた時には、保温調理器の蓋のパッキング部分が壊れてしまいました。
最初に試したのはチキンカレー。
調理鍋の中で玉葱を炒め、スパイス・骨付きの鶏肉・野菜類を加え、最後にホールトマトやスープで伸ばし沸騰させた後、母に言われた通り保温調理器に鍋を閉じ込めました。壊れたパッキングの代わりに電話帳で重しをし、待つ事6時間。「何度も中を開けて見ちゃ駄目よ」と、母に注意をされて居たのです。
開けて見ると、中からほんわり良い香りが立ち込めます。煮込む途中でお部屋の中がカレーの匂いで充満する事が無かった事に、ここで初めて気が付きました。
一番驚いたのが、ルーの滑らかさ。
普通、一晩寝かして翌日更にコトコト煮込むとこんな感じになるのですが、たった6時間で味も円やか。鶏肉も柔らかく、ゴロゴロのじゃが芋や人参も柔らかいのに煮崩れしていません。
カレー好きの私。今迄色々苦労して作り方を試行錯誤して居たのは、一体何の為だったのか?と思った程の美味しさでした。
ウィーンに居た頃はガスレンジだったのですが、他の州では殆どが電気レンジ。この余熱をやっと利用できる!と、保温調理の虜になってしまいました。
次の頁では、基本的な「余熱利用方法」を紹介しましょう。
※1「シャトルシェフ」は日本サーモスの開発した保温調理器で、1989年には既に販売開始されています。
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